Vol.348 2022.2.8

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Column

まだまだ遠いかな憩いの家 その3

ヴェルディの肖像画と問われてふと思い浮かぶものは、気難しそうな面持ちに眉までシルクハットを落とした一枚であろう。ジョヴァンニ・ボルディーニによって描かれたそのパステル画は、憩いの家の音楽ホールにレプリカが置かれているが、オリジナルはローマの国立近代美術館が所蔵する。

それに先駆けて描かれたもう一枚のヴェルディがある。同じボルディーニの作品だが、前述のものより僅か(1週間から10日)ばかり前に、同じくパリにある画家のアトリエにて描かれたもの。この油絵こそが後の名画を生むきっかけとなる。

すべてのものにはそれに相応しいタイミングがあるのだろうが、今はこの憩いの家の博物館の壁に掛かるオリジナルがいわば失敗作であったということに因を成す。ボルディーニ自身かなりの歯痛に苦しむ中、過労気味ということもありその日穏やかさを欠いたヴェルディ。それに加えて同席していた指揮者ムーツィオとヴェルディの奥方、ジュゼッピーナの取りとめのないお喋りこそが場の雰囲気に暗雲をもたらしたらしい。

ヴェルディのポートレートはひとまず仕上がったもののかなり神経質なものになってしまい、ボルディーニ、ヴェルディともに納得がいかない。その後、双方の合意の上で描き直すことになる。そして1886年の4月9日、2時間のデッサンを経て、その数時間後に上ったものが2枚目のパステル画ということになる。

画家にとってリベンジとなったパステル画は、パリの万国博覧会をはじめ、ヴェネツィアではじまった展覧会、ビエンナーレなどに出展されながらも、生涯、ヴェルディの手元に届くことはなかった。一方、最初に描かれた油絵は、ボルディーニ本人により1893年にヴェルディに贈られて、憩いの家に収まるまでの間、晩年までサンタ・アガタの自宅に飾られることになる。

憩いの家の博物館には、ブロンズでつくられたヴェルディの胸像も置かれているが、ストレッポーニ夫人のテラコッタ製の胸像とともにナポリ出身の彫刻家、ヴィンチェンツォ・ジェミトの作品。土の特性を生かした、夫人のどこにでもある日常を感じさせる穏やかな作風に比べると、ヴェルディの銅でつくられた表情にはどこか英雄色の漂う、偉業を成し遂げた男の重みを感じるが、それも当然のことであろう。

いずれにしてもこの憩いの家にいて、ここ博物館が、墓所、礼拝堂とともによりヴェルディを感じることのできる神聖な場所であろう。

客人が音楽を楽しめるところといえば、自分たちが演奏をしたり、あるいは生徒のレッスンを行うことのできるレッスン室が地上階、2階にいくつかあり、ピアノや様々な楽器の音、そして歌声が絶えないところに魅力がある。

2階のオーディオ室には個々、また幾人か集って音楽を聴き、オペラなど映像に夢中になっているご老人を見かけることも多く、何ともほのぼのとした雰囲気に満ちているのである。

堂満尚樹(音楽ライター)
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旅行期間:2022年4月6日(水)~2022年4月11日(月)

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